チェスター・I・バーナードの「組織の三つの要素」

three people sitting beside table 理論
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チェスター・I・バーナードは、組織が正式に機能するためには三つの基本的な要素が必要であると説明しています。これらの要素が揃うことによって、公式組織(フォーマル組織)として成立します。以下、バーナードの理論に基づく組織の三大要素を詳細に解説します。

  1. 共通の目的: 組織が成功するためには、すべてのメンバーが同じ目的や目標に向かって努力することが不可欠です。共通の目的は、組織全体の活動を統一し、集団のエネルギーを一つの方向に導く役割を持ちます。これにより、組織内の個々の行動が全体の成果に寄与するようになります。
  2. 貢献意欲(協働意欲): 個々のメンバーが組織に対して貢献し、協力する意欲もまた、組織を支える重要な柱です。この協働意欲は、組織の目的に対する個人のコミットメントを示し、組織の成果と直接的に関連します。組織がメンバーに適切なモチベーションと誘因を提供することが、この意欲を高める鍵となります。
  3. コミュニケーション: 効果的なコミュニケーションは、組織内のスムーズな運営に不可欠です。意思疎通を通じて、情報は組織の隅々にまで正確に伝えられる必要があります。これによって、迅速かつ正確な意思決定が可能となり、組織の効率と効果を最大化します。

バーナードは、これらの要素が組織の「均衡条件」を維持するために不可欠であるとしました。均衡条件とは、組織のメンバーに対する誘因が彼らの貢献を上回る、あるいは等しい状態を指します。彼の著書『経営者の役割』においては、組織を維持し成長させることが経営者の重要な役割であると強調し、個人のモチベーションと倫理的リーダーシップが組織の存続に不可欠であると述べています。組織がその目的を達成し、参加する個人の目的も同時に充足されることが、組織の成功の鍵です。