組織内での個々のモチベーション向上は、目標達成と成功のための重要な要素です。V.H.ブルームが提唱した期待理論は、この点において非常に有益なフレームワークを提供します。期待理論は、従業員がどのようにして自らの行動を動機づけるか、そしてそのプロセスがどのように機能するかを解析します。この記事では、ブルームの期待理論の基本と、それをビジネスに応用する方法について掘り下げます。
期待理論の基本
V.H.ブルームによる期待理論は、個人が行動を起こす動機づけの強さを数式で表すことにより、心理的な動機付けのメカニズムを明らかにしました。具体的には、動機づけの強さは以下の式で表されます:
動機づけの強さ=(報酬の期待される価値)×(報酬を得られる確率)動機づけの強さ=(報酬の期待される価値)×(報酬を得られる確率)
ここで、「報酬」とは金銭的な報酬だけではなく、仕事の充実感や得られる尊敬など、個人にとって価値のあるものすべてを含みます。「報酬を得られる確率」は、特定の成果がもたらされると考えられる主観的な見込みの度合いを示します。
VIE理論の展開
ブルームの理論をさらに発展させたVIE理論は、仕事へのモチベーションを以下の三つの要素で解析します:
- 期待(Expectancy): 特定の努力が望ましい成果を生み出すと信じる度合い。これが高いほど、努力に対するモチベーションも高まります。
- 誘意性(Valence): 成果がもたらす魅力や満足度。個人がその成果をどれだけ価値あるものと感じるかが鍵となります。
- 道具性(Instrumentality): 成果がさらに大きな報酬や目標達成にどれほど寄与するか。この要素は、成果が結果的にどれほど役立つかを示します。
ビジネスへの応用
期待理論をビジネスに適用することで、経営者やリーダーは従業員のモチベーションを科学的に理解し、効果的に向上させることができます。たとえば、目標設定の際には、従業員が成果を達成できると信じられるようにリアルな目標を設定し、達成時の報酬が魅力的であることを確実にします。さらに、その成果がキャリアの進展やより大きな成功へとつながることを明確にすることで、道具性を強化します。